2冊組 / エアキャップ封筒入
190mm×148mm | 36ページ | 中綴じ(めがね製本)
デザイン: 塚原敬史(trimdesign)
発行: VERO (2016年9月)
サイン本あり
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「ここにある白い写真と黒い写真は、具体的で一見説明をつけやすいものと、不明瞭で想像力を必要とするものの対比になっている。何かを見るということは、この二つの間のグラデーションの中にあるように思う。 そして人は、何かを分かったと思ったときにこそ何かを見落としやすいように出来ている。どこかに立ってだれかを見ているとき、常にそこには死角も生まれることになる。 そのことを忘れていると時々痛い目にあうことになる。 例えば恋愛のときとかにね。」
高橋宗正は、写真の役割を常に考えて制作を続けてきました。『スカイフィッシュ』では、作品に使われたイメージや物語の説明を排し、写真とそれを見る者との関係性における構造を重視してきました。また、2011年の大震災をきっかけに始まった「LOST&FOUND PROJECT」を通じ、世の中における写真の役割をより強く実感した高橋は『石をつむ』で自身の経験ーより個人的なものーを写真によってかたちにし、見る人に語りかけてきました。
今回の写真集では「Birds on the Heads」と「Bodies in the Dark」の2作品がセットとなっています。高橋が上で述べるように、わかりやすそうなものとわかりにくそうなものを組み合わせたものになります。
人は様々な経験をし、それに基づいて物事を判断し、営みを続けています。それゆえに、写真を見る姿勢も人それぞれと言えるでしょう。「わかった」と思ったものでも、他者の「わかった」とは違うはずです。
自分の目でものを見る、ということはいったいどういうことなのか。高橋はこの作品を通して問いを投げかけています。