235x190mm | 84ページ | 布装ソフトカバー
限定700部(ナンバリング、サイン入)
出版:VERO
「糸をつむぐ」は今は亡きご友人と車中での何気ない会話の記憶からうまれた作品です。 「水に浮くものを撮ったらいい」 「それは具体的にはどんなものを撮ればいいの」 「なんとなく思いついただけ」 「そのうち撮ってみようかな」 会話のあとは続かず、これらの言葉は一旦は忘れ去られました。
個人と生活、他者、風景、家族、記録、など、カメラが写し、写真に残されうる多岐にわたる被写体が登場している本書は、8×10インチの大判カメラに撮影の道具が変わったことで、被写体との向き合い方がこれまでの作品と比べると表現に変化があります。 被写体を選ぶ高橋の視線は、以前よりも写真の持つ記録するという機能が存分に意識されているようです。そして被写体はとても丁寧に作者に見つめられています。
また、「水に浮くものとは結局なんだろうか」と考えながら被写体を探る中で、結婚、出産、子育て、という自身の生活が大きく変わる体験がありました。この体験によって、時間とともに忘却と追憶を繰り返しながら繋がっていく記憶、それと共に写真が未来に残されていくことの普遍的な意味を形にしようと試みています。